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安全保障におけるアメリカの日本に対する期待

2021.04.27

ここのところ米国シンクタンクの発表するレポートをいくつか読むと日本の評価が高いことに気がつく。ここにいくつかを紹介し考察してみよう。

 

まず、昨年1月に米国務省からプレスリリースされた記事では60年にわたる日米同盟に関して日本は「インド太平洋地域における平和と安定及び自由のいしずえとして任務を果たしている。1960年の日米安全保障条約に基づく日本の防衛に対する米国の誓約は揺るぎないものである。[1]」と日本の安全保障に関する働きを高評価している。日本には約55,000人の米軍兵士が駐留しており、共に働く何千人もの国防総省の役人とその家族が米国の日本への関与の深さを裏付けている。

しかしこれら予算は日本からも相当支出している。米軍兵士をゼロにすることは実質ありえないが少なくとも今後は兵士削減に伴い自衛隊がその任務を賄える国家にしたいものだ。

米国は海外軍需販売制度の下、日本には200億ドル(2兆1千億円)以上の活発な取引がある。また、「2015年以降米国は125億ドル(1兆3200億円)を超える防衛装備品を直接販売 (DCS) を通じて日本に恒久的に輸出することを承認している。[1]」

しかし米国製防衛装備をこのまま購入しつづけていてもいいのか、と疑問が生じる。このような軍需装備は、今後は可能なかぎり国産をめざすべきではないか。そして将来的には日本の装備を米国に販売する、いや少なくとも共同開発することにより日米はより抜き差しならぬ関係が構築されるはずである。

 

次に、昨年8月のダニエル・イノウエの財団であるアジア–パシフィックセンターが発表した論文「対中国病原体国際バイオシールド同盟」では「日本は75年以上にわたって米国と緊密な同盟関係にある。この間日本は防衛力を強化し米軍との統合を進めるなど日米同盟はより統合的でバランスの取れたものとなった。2011年に日本の東北地方を襲った地震と津波への共同対応は日米同盟史上最大の二国間ミッションとなった。[2]」と東日本大震災の救援を日米同盟史上最大のミッションと評価している。

この論文の内容は日本がリーダーシップを取り日本に続く台湾・韓国およびベトナムと共に中国からのこれからも発生するであろう病原体の封じ込めのためのバイオシールド(防御)同盟を提案している。日本、台湾、韓国、ベトナムは今回のCOVID-19に対して一定の管理ができていると評価しているためである。またこれらの国のほかラオス、シンガポール、フィリピン、タイ、インドネシアも重要な役割があると示唆している。

たしかに日本やアジア諸国に比較して米国やヨーロッパでのパンデミックの影響は大きい。できるだけ中国からの病原菌はアジア諸国がバイオシールドになって欧米に拡散しないようなお願いなのかと思われる論文だ。

 

最後に、2020年に発表されたランド・コーポレーションの「東シナ海情勢における日本の潜在的貢献」という論文は非常に興味深い。「インド太平洋地域では、米国と日本の同盟関係が最も重要であることは間違いない。[3]」とここでも日米同盟を評価する。東シナ海で有事が発生し中国との間で大規模な通常戦が展開したときの自衛隊の強みと弱点を指摘している。

主な結果を以下に記す。

  • 陸上自衛隊の機動性や分散態勢の強化は、東シナ海における攻撃への対応能力を向上させたが、情報収集能力やシェーピング能力は相対的に低い。[3]

なんと大日本帝国陸軍のDNAを確かに受け継いでいる評価だ。機を見るやいなや行動し、桜が散るごとく分散して被害を最小限に抑えながらの戦術を見抜いている。しかし残念なことに陸軍中野学校の諜報能力の学習がないのか情報集取能力が乏しいとの評価だ。

  • 航空自衛隊は高度な戦闘機と戦闘能力を保有しているが、すべてのプラットフォームが同様に近代化されているわけではなく、電波妨害対策能力や、強力な空中給油機を含む十分な後方支援能力を欠いている。[3]

ここでもかつてのゼロ戦部隊のDNAは残っていた!航空自衛隊の高度な戦闘能力は未だ健在だったのだ。あとは近代化や電波防衛などの対策をすればいいではないか。それは簡単なことで防衛予算GNP2%を達成すればできることである。

  • 海上自衛隊の最大の強みは、海上交通路の防衛、チョークポイント制、対潜水艦戦などの能力であるが、後方支援では課題を抱えている。[3]

海上自衛隊においては非の打ちどころがない、という評価ではないか!後方支援では課題を抱えているとはどういうことなのか?弱点がないので何か書いただけのような弱点だ。

  • 全体として、自衛隊の強みは、米軍との高い相互運用性、防空・ミサイル防衛システム、宇宙・サイバー・電磁スペクトルという新たな領域への移行である。重要な課題は、自衛隊には多くの重要な能力が欠けていること、3つの構成部隊の統合度が高くないこと、採用水準の低下と高齢化に直面していることである[3]。

総合的にはミサイル防衛、宇宙やサイバー、電磁スペクトルからの防衛には非常に自衛隊は強いということであえて弱点をいうならば高齢化であろう。

 

今回は3つの米国シンクタンクからのレポートを元に「国防安全保障における米国の日本に対する期待」を考察してみた。自衛隊の過大評価はすべきではないがこれら3つの異なるシンクタンクからのレポートから見えてくるのは、もはや米軍は自衛隊なしには軍事オペレーションを遂行し成功させることは困難なのではないか、という事だ。自衛隊の質の高さと戦術までも米国は熟知しているからこそ日本を頼りにしていると思われるレポートだ。そして重要なのは異なる3つの米シンクタンクは言葉を同じく「日米同盟の重要性」を謳っている。

かつて太平洋において壮絶な戦いをしてきた日米二国がいまや世界の平和のために手を結びお互い信頼関係にある時代になったのだ、と筆者は胸がいっぱいになった。

 

参考文献
[1] U.S DEPARTMENT of STATE January 20,2021. U.S. Security Cooperation with Japan
[2] Daniel K. Inoue Asia-Pacific Center for Security Studies August, 2020. An International Biodefense Shield Alliance Against Pathogens from China
[3] RAND Corporation 2020, Japan’s Potential Contributions in an East China Sea
Contingency

令和参年4月26日

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